まず、異例の発言をした中山恭子首相補佐官の時系列の動き。
13日 14時34分〜55分
南会議室 日米文化教育交流会議(カルコン)の槙原稔、ティエリー・ポルテ日米両委員長らの表敬。
シーファー駐日米大使同席。
14時57分
執務室
14時58分
高村正彦外相、町村信孝官房長官、外務省の藪中三十二事務次官、斎木昭隆アジア大洋州局長が入った。
15時2分、
中山恭子首相補佐官が加わった。
ttp://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080614/plc0806140331001-n1.htm
中山恭子首相補佐官 13日夜
「もう少し国内でいろいろ議論した後で十分だっただろう」
「北朝鮮が調査するかどうかをしっかり見極めた上で(解除を)実施することを明確にする必要がある」
「口頭での発言であり、それだけで進展や前進があったということではない」
ttp://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080614/stt0806140054001-n1.htm
メンバーをみれば、この会議室で何かがあった、と見られる。
何かがあったのだけれど、中山補佐官の発言が個人的心情から出たものなのか、日米の首脳が関わる何らかの政治的意図のもとに行われたのかは判断できない。これからも判断できる材料というのは上がってこないだろう。
一ついえるのは、拉致被害者家族会の反発は、おそらく官邸は織り込み済みだったことが考えられる。
いずれにせよ、拉致問題に関しては、中山恭子補佐官は制裁に懸念している、というメッセージになった。
(実は参院選では私は中山さんに入れたのだけれど、この方の政治家としての処し方は、要所要所を押さえていて底がみえない…)
次は政府の前提条件について。
食糧・エネルギー支援の不参加の継続については、ルール通りで正しい。
いま出ている制裁緩和についても、あくまで相手の出方を見ながら、ということで、これも方法論としては正しい。
問題は、相手が履行してきた場合の解除の中身なのだけれど、やや譲歩しすぎの印象がある。
これはアメなので、奮発する必要があったのだろうけれど、個人的な感情論としてはいいとは思えない。(あくまで個人的感情論なので、政治的現実は違う。これは中山補佐官の発言に繋がってきていて、中山補佐官の言葉は、国民の何%が抱く感情を代弁したもの、といえる。私のような個人的感情を持つのがもし多かったら、もしその人が今回の拉致の情報について誤った情報に接してしまったときは、支持が離れる、ということがあるだろう。今回、中山補佐官の懸念には、一筋縄ではいかない何かがある、とだけは頭に入れておいたほうが、あとの情勢の読みに関して感情に流される過ぎることはなくなる。)
よど号事件に関わった容疑者は、実際に拉致され、生存している可能性が高い方々が含まれる。
容疑者を逮捕して取調べに入った場合、
「拉致をしたのは事実」
「生存しているのかは分からない」
で、北朝鮮が「死亡している」と繰り返せば終わりとなる。
それまでは制裁をいつでもかけられるようにする必要がある。
ttp://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080613-OYT1T00566.htm?from=nwla
政府は、制裁を解除・緩和する時期について、
「さらなる日朝間の交渉がある。その様子を見なければならない」(町村長官)として、今後の北朝鮮の出方を見極めたうえで判断する方針。
北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の枠組みで実施されている、北朝鮮への経済・エネルギー支援について、
「環境が整ったと言えるほどの進展ではない」(同)として不参加方針を継続する。
政府は北朝鮮の今回の対応を踏まえ、弾道ミサイル発射や核実験を受けて実施してきた制裁措置を見直す。具体的には、
〈1〉北朝鮮籍者の入国原則禁止
〈2〉日本の国家公務員の北朝鮮渡航の原則見合わせ、日本から北朝鮮への渡航自粛要請
〈3〉日朝間の航空チャーター便の日本乗り入れ禁止
――が解除される見通しだ。
すべての北朝鮮船舶の入港禁止措置も、日本から人道支援物資を運ぶ場合に限り認める。
「よど号」乗っ取り犯と家族のうち、日本への引き渡しが検討されるのは、
乗っ取り犯の魚本(旧姓・安部)公博(60)、小西隆裕(63)、若林盛亮(61)、赤木志郎(60)、乗っ取り犯の妻の森順子(55)、若林(旧姓・黒田)佐喜子(53)の6容疑者。
魚本容疑者は1983年の有本恵子さん拉致事件、森、若林佐喜子容疑者は80年の石岡亨さん、松木薫さんの拉致事件にそれぞれ関与したとして、日本の警察当局が結婚目的誘拐容疑で逮捕状をとっている。
次は米国務省の動き。
ttp://www.yomiuri.co.jp/feature/20080118-931444/news/20080613-OYT1T00295.htm
アレグザンダー・アービズ米国務次官補代理 12日
北京で約9か月ぶりに開かれた日朝の公式実務者協議について、
「具体的な結果は(両国から)聞いていない。協議が行われたこと自体が前向きな動きだ」
「(拉致問題などで)なんらかの結果が出なければならない」
北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議を進めていく上で、日朝関係の改善が必要と強調。
北朝鮮が核放棄の見返りとして求めているテロ支援国指定解除について、
「我々が(ブッシュ大統領に)勧告するには、(北朝鮮が今後、テロ支援行為をしないという)確かな根拠が必要だ」
「その段階には至っておらず、(解除勧告の)決断はなされていない」
ttp://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00134689.html
今回の結果について、アメリカ国務省は「これまで北朝鮮に対し日本の拉致問題に取り組むよう促してきた。今回、北朝鮮が拉致問題に真摯(しんし)に取り組む姿勢を示したことを歓迎する」
北朝鮮の動き
ttp://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00134656.html
朝鮮中央通信は協議に結果に関する報道文を発表した。
報道文には、「拉致問題の再調査を実施するとともに、よど号の関係者の問題解決のために協力する用意がある」としている。
北朝鮮が、外交交渉の内容を即座に公表するのは異例
次は朝鮮総連の動き。
ttp://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080613/plc0806132234025-n1.htm
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)は、本国と日本社会をつなぐ“動脈”である貨客船「万景峰92」について、「すでに数日前から、今回のことを見越して新潟港への入港手続き準備に入っている」(公安筋)
安倍総理の動き
安倍晋三前首相 12日 都内のホテルで講演
日本と北朝鮮の公式協議に関連し、
「拉致被害者を帰さない以上、北朝鮮はテロ支援国家だ。米国がテロ支援国家リストから北朝鮮を外せば、日米同盟の信頼感にも影響が出る可能性がある」
北朝鮮の思惑について
「米国の次期大統領の方が今よりも甘い政策になるかもしれないと考えているかもしれない。ブッシュ政権の末期に、テロ支援国家のリストからの除外という妥協を引き出せると期待もしている」
「米国にとっても米朝関係よりも日米同盟が大切なのは明らかだ。日本の世論を盛り上げ、米国に正しい判断をしてもらうことが大切だ」
自民党の山崎拓元副総裁らが中心となり超党派の「日朝国交正常化推進議員連盟」を結成するなど、北朝鮮への融和姿勢が広がりつつあることについては、
「政府が北朝鮮と相当の交渉をしなければいけないときに、有力者も含め多くの議員が政府よりも甘いことを言うのでは交渉にならない。経済制裁はそろそろ考え直した方がいいという意見は、百害あって一利なしだ」
「北朝鮮は拉致問題は対南(韓国)工作の一環として拉致をしていた。日本の国権の侵害であり、安全保障上の問題だ。ここは一切妥協できない」
▼
まとめると、
・今回の非公式の日朝交渉は、米朝間である程度拉致問題について踏み込むことが前もってテロ支援国家指定解除の条件として出て、北がそれを飲んだ。
・斎木氏もその拉致問題について踏み込むことが分かって交渉に臨み、手始めに実行犯の引渡しの段階にこぎつけた。
・朝鮮総連は北朝鮮からの情報を得て、万景峰号の入港の準備を急いだ。
・北朝鮮の意図は、拉致被害者の帰国ではなく、よど号ハイジャック犯の引渡しを大々的にアピールし、それで幕引きにするつもりである。
・日本としては、よど号ハイジャック犯から拉致の実態を聴取し、北朝鮮に証拠を突きつける、といった段階の初期段階措置に過ぎない。日本としては制裁を継続する。
・拉致被害者が帰ってくる可能性は現時点では大変低い。制裁はあくまで限定的に解除し、その限定的な解除で北朝鮮が返さない=融和路線の再否定を行う必要がある。
・次期米大統領がマケイン氏になった場合は、ボルトン氏などの再登用が考えられるため、対北朝鮮外交は制裁に向かう。オバマ氏になった場合は、今回の日本の民主党の福田政権弱腰発言などの言質を取っておき、日本の再制裁強化を行う。
・北朝鮮がミサイルか核の再実験を、交渉が不調に終わった場合これを不服として行う可能性がある。その場合はもちろん再制裁に踏み切る必要がある。
・ブッシュ政権の残り任期の短さがどう情勢に影響するのかはまだ読めない。
・拉致問題は欧米人に渡っていることが報告されている。このカードはまだ温存されている。
・日本のマスコミは福田政権を下ろして民主党政権を樹立することが政治ショー的に重要な関心事であるので、安部政権とは逆に拉致問題を積極的に取り上げることで国民の批判を引き出すことが考えられる。民主党はそれにのり(のらずとも)拉致問題に絡めて政権批判を始める。拉致問題は国民的関心事に変わりはなく、この問題のいかんによっては政権は浮揚もするし、墜落もありえる。
・拉致問題の解決は、現時点ではどう転んでも望みは薄い。拉致問題が解決しない以上、日本が大幅な制裁解除に踏み切る可能性も薄い。日朝国交正常化のメリットも特に存在しない。国民の意見は8割が反北朝鮮のかたちで拉致問題に関心を寄せているが、国会議員の割合をみるとそうでもない。拉致問題については、ある程度の超党派の大きな分裂が起きる。おそらく、日本の強硬派は核保有論を再燃させる。米国務省にはそれを抑える理論的な根拠が薄まる。ちなみに福田総理は非核三原則にはこだわらない、という見解を官房長官時代に述べている。
・軍事的には8月にMDはグレードがアップする。北朝鮮による日本を攻撃しうる能力は低下し、核による強迫の効果は段階的に落ちる。
・福田総理の最終的なカードは、日本の強硬派の声にバックに、非核三原則の見直しによる、在日米軍による日本国内における核の運用の開始に踏み切る可能性がある。これは、表向きは対北朝鮮用として、事実上は内戦状態に陥る可能性もある中共と人民解放軍の不確定要素に備える、という意味合いがあるように思われる。日本のクラスター使用禁止条約合意の裏には、核兵器を保有し、かつ、核開発能力を喪失した状態での北のテロ支援国家解除、それに呼応して湧き上がる日本保守派による核武装論、その声にのって非核三原則の見直しを議論し、それが失敗に終わった場合は北朝鮮への再制裁を選択し、成功に終わった場合は、防衛費の逓減を一時的に解消する非常に有効なカードになりうる。また、次期政権がマケイン政権になった場合は、この流れは非常に有効に機能する。
▼
以上が現時点での私の分析。
ほんとうのところはどうなのかはやはりよく分からない。
各自判断されたし。
【individual intelligence warfareの最新記事】



日本は、アメリカのチョークポイント(対馬、津軽海峡)を数多く抑えた地政学的要衝で、アメリカも日本だけを利する核武装には慎重かもしれません。実際、今回の台湾漁船問題も、裏ではアメリカがいるでしょう。(今回の尖閣問題は、中国よりもアメリカが黒幕だと思います。蒋介石人脈の復活ですかね。ただ中国大陸動乱に関しても台湾が不用意な介入をして東亜の均衡が御和算になる危険性があります。地政学を理解しない国民党も東亜のガンですからね。)
台湾はタカダ様ほど詳しくはないですが、今回の件ではけっこう騒ぎが大きいですね。
管理人より