2006年07月08日

小泉総理 最後の戦略 ver.20060705

■小泉政権の歴史

2000年10月11日
アメリカ国防大学 国家戦略研究所(INSS)特別リポート「合衆国と日本:成熟したパートナーシップへ向けての前進」
(通称「アーミテージ・リポート」)、公表。

1.米国は「尖閣列島を含む日本防衛に強い責務を持つ」ことを明確にし、日本も対等な立場での同盟国となる。
2.安保条約を実質的に機能させるために、日本は「ガイドライン法案」に沿って国内制度を整備する。
3.米日両国の軍隊は緊密で具体的な協力関係を築かねばならない。国際テロや国際犯罪にも対応できるようにしなければならない。
4.現行法では、日本が国連維持活動に参加するに際し、あまりに多くの制限を設けている。日本はこの制限を取り払い、平和維持活動や人道的任務に参加するべきである。
5.危機に対応する機能を維持できるという条件つきで、沖縄を含む在日米軍基地をできるだけ削減すべきである。
6.米国は防衛関連技術を優先的に日本に提供するようにする。米日の防衛産業が戦略的提携関係を組むことを奨励する。
7.ミサイル防衛協力を推進する。

2001年5月7日
小泉内閣総理大臣所信表明演説。

第百五十一回国会における小泉内閣総理大臣所信表明演説 平成十三年五月七日
http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2001/0507syosin.html
(新世紀維新を目指して)


小泉総理の真の目的は、「新世紀維新」の実現。
聖域なき構造改革とは、「維新への」構造改革。

(聖域
http://blue-diver.seesaa.net/article/18225427.html


2001年12月
小泉総理は、「新世紀維新」実現のために、排除すべき「敵」を認識する。

北朝鮮不審船事件、発生。

2001年12月
  防衛庁電波傍受施設、不審船が使用する周波数帯を朝鮮労働党使用のものと同一と解析。
  米軍事衛星、ナムポから工作船出航を捕捉。

2001年12月21日 未明
  自衛隊司令部、「北朝鮮工作母船情報アリ」として監視エリア指定、上空からの監視ミッションを第一航空群に命令。

2001年12月21日 夕刻
  海上自衛隊、鹿屋・第一航空群所属P3-C哨戒機、九州南西海域において北朝鮮の不審船を目視。

2001年12月22日 未明
  防衛庁、不審船と断定。海上保安庁へ連絡。

2001年12月22日
  海上保安庁巡視船三隻、北朝鮮工作船を追尾。船体射撃による発砲応酬後、工作船は炎上、自沈。


▼「敵」の排除

2002年8月
第1の戦略が始動。

小泉総理は、日本を訪れていたアーミテージ氏を呼んで、平壌行きを伝達。
アーミテージ氏から連絡を受けたブッシュ大統領はすぐに総理に電話。
「われわれは北朝鮮のウラン濃縮計画があると判断している」と伝え、同計画の概要を教えた。

2002年9月17日
第1次小泉訪朝。
新世紀維新の黒船。

2003年5月23日
第2の戦略が始動。
クロフォード会談。
次期総裁候補と米国情報機関を交えたインテリジェンス・ブリーフィング。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/us-me_03/us_gh.html

小泉総理
(f)もし、北朝鮮が更に事態を悪化させれば、一層厳しい対応が必要になる
(h)北朝鮮の違法行為の規制・取締まりを一層強化する
ブッシュ大統領
(e)北朝鮮からの核や麻薬の拡散は絶対に容認できない
(f)拉致は忌むべき行為、拉致された日本国民の行方が一人残らず分かるまで日本を完全に支持する

2004年5月22日
第2次小泉訪朝。

「ご批判は甘んじて受けます。全ての責任は、私にあります。」

小泉総理の沈黙。
沈黙は新たな聖域を形成する。

2004年6月8日
日米首脳会談。

And the Prime Minister agreed, and agreed that we would, in the six-party talks, approach this, and that the six-party talks are a good chance to test the North Koreans' --

――Briefing on Meeting with Prime Minister of Japan
Background Briefing by a Senior Administration Official on the President's Meeting with the Prime Minister of Japan
Sea Island, Georgia 20040608 12:30 p.m.-1:45 p.m.

http://www.whitehouse.gov/news/releases/2004/06/20040608-16.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/g8_04/ju_kaidan.html
http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2004/06/10press.html


▽米国政府は、北朝鮮が核開発プログラムへの資金調達手段として、貨幣偽造、マネーロンダリング(資金洗浄)および麻薬取引などに関与していると認定し、制裁へと向かう――

(file:対テロ制裁の発動 マカオ・コネクション ver.20060109
http://blue-diver.seesaa.net/article/11473456.html

2005年5月19日
米国政府、1997年から2000年にかけて、額面100万ドル以上の精巧な偽100ドル札「スーパーノート」を北朝鮮から購入し、英国内などで流通させた疑いで、カトリック系過激組織「アイルランド労働者党」OIRA指導者、ショーン・ガーランド党首(71)を起訴。

2005年6月29日
ブッシュ大統領、大統領令「13382」発令。
大量破壊兵器(WMD)の開発や拡散に関与していると判断した北朝鮮、イラン、シリアの計8つの企業・機関と取引した企業に対し、在米資産差し押さえなど厳しい措置を講じる。
大量破壊兵器(WMD)拡散に関与した疑いで北朝鮮系企業3社、政府系原子力機関などイランの4機関、シリアの1研究施設を指定。



2005年夏。
ブッシュ政権は北朝鮮に「より対決的な(Confrontational)措置」を取ることを決定。


2005年7月
米政府が最近、第4回6カ国協議について中韓両国など関係国に対し、多国間の枠組みを使って北朝鮮の核問題解決を話し合う「最後の機会」になる可能性があると伝達していたことが判明。

2005年7月26日
第4回6ヶ国協議開催。

2005年9月11日
小泉総理、9.11総選挙で勝利。

2005年9月15日
ブッシュ米大統領、麻薬を生産したり密輸防止の努力を怠っている国を列挙した指定国リストを議会に送付し、関連の覚書を公表。

ブッシュ大統領
「過去の麻薬密輸事件で日本や中国の犯罪組織と北朝鮮の密輸グループの間に密接な関係があった」

2005年9月19日
日米両政府はこの時点で、第4回6ヶ国協議共同文書採択を拒否する選択肢もあった。
(FNN News JAPAN 2005/09/19
http://blue-diver.seesaa.net/article/7393937.html#more )

2005年9月19日
6ヶ国協議共同声明。
北朝鮮が全ての核兵器と核計画を放棄に合意。

2005年9月20日
北朝鮮は軽水炉が提供される前に核の完全放棄を行うつもりがない姿勢を強調。北朝鮮が核の全廃を決断した、という見通しはわずか半日程度で暗転した。

2005年9月20日
米国が進めている新しい対北朝鮮金融制裁に関する大統領行政命令の草案が、2005年9月20日付の連邦官報(Federal Register)に掲載。

日米の首脳が設定した、北朝鮮の指導部に核放棄の意思があるかどうかの“test”は、この日をもって終了した。

・米国は北朝鮮の完全核放棄が最早望めないという認識を政権内で確立させた。

(analysis #14 a test 040608-050920
http://blue-diver.seesaa.net/article/13153712.html


2005年10月14日
警視庁公安部、朝鮮総連傘下団体に対する強制捜索。

2006年2月16日
専門幹事会(拉致問題)が「拉致問題特命チーム」に名称が変更された。
首相官邸ホームページに拉致問題に関する特集コーナーが設置された。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/rati/index.html

2006年3月23日
警視庁公安部、拉致事件に関連して、朝鮮総連傘下団体に対する強制捜索

2006年5月8日
ブッシュ政権が米国民に対して、北朝鮮船籍の船舶の保有・リース契約・稼動・保険供与の禁止を決定。

2006年5月12日
警視庁は覚せい剤取締法違反容疑(営利目的密輸)で、01年12月に鹿児島・奄美大島沖で沈没した北朝鮮工作船から回収された携帯電話の通話先とされる元在日朝鮮人で現韓国籍の禹時允容疑者と指定暴力団極東会系組長、宮田克彦容疑者、遊漁船業・権田修容疑者を逮捕。

2006年5月19日
北朝鮮による弾道ミサイル発射の動きを日米が確認。
米国務省、第4回6者協議共同声明に基づきミサイル実験をけん制。

同日、小泉総理は組織犯罪処罰法改正案(共謀罪)の取り下げを細田国対委員長に指示。

2006年5月30日
小泉総理は片山参院幹事長に国会延長取りやめの理由を「状況が変わった」と説明。

(聖域 II
http://blue-diver.seesaa.net/article/19379778.html

2006年6月20日
米国防総省、迎撃ミサイルシステムを「実戦モード」に移行。

2006年6月29日
小泉純一郎総理 最後の戦略が始動。
日米首脳会談。
共同文書「新世紀の日米同盟」
http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2006/06/29kyoudoubunsyo.html
両首脳は、「成長のための日米経済パートナーシップ」の下で過去5年間にわたって達成されてきた進展を基礎として、互恵的な二国間経済関係を更に深化させ、地域や世界の経済問題に関する協力を強化するための方策を探っていくことで一致した。

2006年7月4日
日本政府、北朝鮮による5日未明のミサイル発射に備え、4日時点でミサイル着弾地点を確認する監視船を日本海に展開。 

同日、小泉総理は記者団に対し、これまで1日2回行われていた報道各社のインタビュー取材について、今後1回に減らすという考えを自ら明らかにした。

2006年7月5日
北朝鮮は同時多発的にミサイル実験を決行。
日朝平壌宣言を事実上破棄。
日本、経済制裁を発動。


■状況

◆日朝国交正常化について
1.朝鮮半島は非核化されなければならない。
2.北朝鮮の核計画は完全に放棄されなければならず、たとえ平和利用であっても認められない。
3.北朝鮮は六者協議で核計画の全容を自ら明かさねばならない。
4.北朝鮮は六者協議で核計画の全容を自ら明らかにした後に、核兵器の破棄に合意せねばならない。
5.北朝鮮は六者協議で核計画の破棄に合意するとともに、核計画の破棄を検証可能なレベルで実行することに合意せねばならない。
6.北朝鮮は以上の核全面放棄の戦略的決断を2005年9月までに行わなければならない。
7.北朝鮮は核放棄の決断をした後、核計画の破棄を、即時無条件に実行せねばならない。
8.北朝鮮は核計画の破棄を、検証可能な形で実行せねばならない。
9.北朝鮮は核計画の破棄を、後戻り不可能な形で実行せねばならない。
10.北朝鮮は核計画の破棄の実行した後、あらゆる角度から検証を受けねばならない。

・北朝鮮は核計画の破棄を終了させたならば、化学兵器・生物兵器などの大量破壊兵器も破棄せねばならない。
・北朝鮮は大量破壊兵器の破棄を終了させたならば、ミサイルを破棄せねばならない。

日朝国交正常化は「ありえない」。

(analysis #05 日朝国交正常化という「不可能」
http://blue-diver.seesaa.net/article/6597882.html

◆小泉総理の任期中には、イラクに駐留している米国陸軍の大規模な撤退はない。
⇒米国の陸上兵力の不足により、他のテロ支援国家を攻撃して体制転覆以後の計画を立てることが困難な状況である。もちろん日本の陸上自衛隊にはイラク・サマワ以外に、テロ支援国家の体制崩壊後の治安維持に当たることは現実味がない。

◆イラン、北朝鮮は瀬戸際外交・WMD開発・ミサイル開発で共闘している。
⇒米国がイラン・北朝鮮を攻撃することは可能であるが、アフガン戦争・イラク戦争の経験が米国を慎重にさせている。日本には他国を攻撃するという選択肢はない。個別的自衛権の行使のみが現在取りうるとされていた選択肢だった。

◆経済制裁については、イランは原油産出国であり、イランが原油輸出をストップすれば、原油価格(1バレル)が現在60ドルから100ドル以上まで高騰するという予測がある。イランは原油を盾に経済制裁阻止を目論んでいる。北朝鮮については、日米などが経済制裁を行うことは効果的ではあるが、中国・韓国からの交流が途絶えない限り、金正日体制は存続可能である。

◆朝鮮総連や暴力団などを通じて、日本国内に重火器などの大規模テロに使用可能な武器が流入しているとみられる。不測の事態に備えるために、これらの武器の行方を押えることが望ましい。

(稲川会系暴力団武器密輸事件と北朝鮮が関係している可能性について
http://blue-diver.seesaa.net/article/15906933.html

◆テロ支援国家が生き残りと大量破壊兵器獲得のために取る戦略的目標は、意思・時間・空間において優位に立つことにある。小泉総理の任期は2006年9月、ブッシュ大統領の任期は2009年1月までとなっており、政権が変わる。時間は自由民主主義国家の味方ではない。
⇒独裁国家の瀬戸際外交による時間稼ぎに付き合わされれば、独裁国家は国内でのクーデターや指導者の死亡などがない限り、この期間を乗り切る可能性が高い。

意思:自由民主主義国家は精神の自由を保障しており、テロの実行により世論を揺さぶる。自国民に対し完全な統制下において洗脳する。
時間:瀬戸際外交により時間を稼ぎ、政権が変わるのを待つ。
空間:多正面作戦を取らざるを得ない状況に引き込み、攻撃を実行させない。

⇒最終的には、大量破壊兵器とミサイルの開発、テロリスト養成を急ぎ、対抗手段を得て独裁体制の存続を狙う。

ここにきて特に固体燃料使用のミサイルの登場など、弾道ミサイル技術の進化が加速しており、日米のMDの完成度に比べ相対的に優位な状況である可能性がある。

◆中国のような米国の覇権に対抗しようという意思を持つテロ支援国家群の保護国の戦略的目標は、米国の孤立化、戦費の増大などによる疲弊がその目標となる。よって、米英以外の常任理事国はテロと大量破壊兵器拡散において、その抑止となる役割を期待することはできず、逆に勢力拡大の政治的カードとして利用する可能性が高い。したがって、国連は表層的な決定に終始し、漂流したまま機能停止する恐れがある(実際イラク戦争の場合は大国間の激しい主導権争いの場になった)。国連が機能を果たせないままに大量破壊兵器とミサイルの拡散が進み、独裁国家が体制維持を可能にしつつある。米国が手を出せない状況になれば、大量破壊兵器をさらに増産して、攻撃の意思のあるテロリストに大量破壊兵器を譲渡する危険性が高くなる。また、米国がそれでもなお攻撃に踏み切った場合、極めて破滅的な結果をもたらす恐れがある。

◆まとめ
・米国が北朝鮮への限定空爆を決断する可能性は2006年7月5日以降はありうる状況に変わった。
・経済制裁は反米・反日国家である中国・韓国が協力しない限り効果は半減する。
・国連にテロを抑止する能力は期待できない。


■小泉政権の終焉を告げるMDと集団的自衛権

中国としては、共和党ブッシュ政権における外交的失敗を演出することで、米国の民主党政権の確立を助け、対中圧力を軽減することも可能だろう。
そのためにイラン・北朝鮮問題の解決に積極的に動かないことのほうが、中国共産党にとって合理的と思える。

米国内においては、これに拒否感を示す共和党右派を中心とした保守層の突き上げが起きると考えられ、この世論を背にブッシュ大統領は原点に回帰する戦略を取る可能性がある。

米国が一国主義から多国主義へシフトしたのは、一国のみでテロ支援国家とテロ組織に対処することに限界をみたためと考えられる。
また、中国のようなテロ支援国家群の保護国の戦略的目標は、米国の孤立化である。
したがって、米国としては一国主義から孤立主義への道に行くよりも、多国主義を維持することに重点を置く試みを今後も続けると考えられる。

また日本においても、国連に日本防衛の機能を期待できない以上、日米同盟が生命線となる。


北朝鮮は犯罪によってその国家を運営するという特殊事情があるため、第1の選択肢として犯罪行為の取り締まりが柱となってきた。
そこで次の障壁となるのが、核・ミサイル・テロ支援国家の存在である。
イランでは現在、多数の自爆テロリストが養成されており、また北朝鮮においては核物質を保有していることは確定的である。
目下のところ、この2つのイランの自爆テロリストと北朝鮮の核を接触させない必要がある。

原油を持つイランに対しては、イラク戦争で行った外交戦略が適用されつつある。
北朝鮮には原油がないものの、中国・韓国というテロ支援国が存在し、核兵器を保有しているという疑いがある。

・第2次世界大戦での対日戦略
・冷戦構造
・悪の枢軸国の一角であった対イラク戦略

これら3つに対する日米の回答は、

・MTCR(Missile Technology Control Regime)/「ミサイル技術管理レジーム」とPSI(Proliferation Security Initiative)/「大量破壊兵器の拡散防止構想」とによる海上封鎖
・イージス・システムをコアとしたミサイル防衛
・人権問題・大量破壊兵器拡散問題などに関する北朝鮮の安全保障理事会への付託


◆Charter of the United Nations Capter7

7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動
http://www.unic.or.jp/know/kensyo.htm

第51条
 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

【北制裁決議案の骨子】
 一、北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難。発射凍結公約違反に深い憂慮
 一、安保理は国連憲章7章に基づいて行動
 一、ミサイルの開発、実験、配備などの即時中止を北朝鮮に要求
 一、ミサイルや大量破壊兵器開発につながる可能性のある物資や技術などの移転を阻止
 一、6カ国協議への即時・無条件での復帰を要請

▼決裂への準備
2005年4月下旬
ライス長官は4月下旬、大量破壊兵器を巡る北朝鮮の不正取引を防ぐためには船舶臨検の国連決議ではなくPSIを活用できると指摘。

安保理決議案採択が中国などの反対により失敗に終わった場合、日米は次の「有志国連合」による制裁に移行する。


◆PSI
analysis #16 PSIが揺るがす日本の集団的自衛権と国連安全保障理事会
http://blue-diver.seesaa.net/article/17457898.html

2006年4月7日
米国が北朝鮮の武器輸出や麻薬取引などを封じ込めるため、金融制裁に続く圧力強化の追加措置として、北朝鮮籍船舶の寄港制限や保険会社などに対する船舶保険加入の審査強化要請などを検討、近く具体化させる方針。
米国が大量破壊兵器拡散阻止を狙う「拡散防止構想(PSI)」の一環とみられ、既に日本など6カ国協議参加国を含む一部の国に構想を非公式に伝達、協力も求めているもようだ。

2006年5月8日
アメリカ国民に対して、北朝鮮船籍の船舶の保有・リース契約・稼動・保険供与の禁止を決定。

PSIの強化により、日本は最後の聖域へと踏み込む。

PSIについて
・国連安保理決議1540とPSIの阻止原則宣言は、相互に強化し合うものであり、法的にも政治的にも相互に合致する。
・安保理決議1540は、国連憲章第7章に従い、すべての国家が、国境、輸出、積み替え、エンドユーザーおよび核物質防護の効果的な管理を展開することによって拡散を防止することを定めている
・自衛隊は、「防衛庁設置法」第5条第18号に基づき、警戒監視活動を実施中に得た情報を関係機関等に通報することは可能であり、また、「自衛隊法」第82条に基づく海上警備行動(海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合に自衛隊が取る行動)を命ぜられている場合には、当該場合に準用される「海上保安庁法」の規定に基づき立入検査等が可能である。
・自衛隊は、「自衛隊法」第100条の9第2項に基づき、周辺事態に際し、貿易その他の経済活動に係わる規制措置であって我が国が参加するものの厳格な実施を確保する目的で、国連安保理決議又は旗国の同意により、船舶検査活動を実施することができる。

経済制裁について
・国際の平和と安定の維持を目的とする経済制裁の実効性を確保するための活動
日米両国政府は、国際の平和と安定の維持を目的とする経済制裁の実効性を確保するための活動に対し、各々の基準に従って寄与する。
また、日米両国政府は、各々の能力を勘案しつつ、適切に協力する。そのような協力には、情報交換、及び国際連合安全保障理事会決議に基づく船舶の検査に際しての協力が含まれる。

武力攻撃について
・日本周辺海域の防衛及び海上交通の保護のための作戦
自衛隊及び米軍は、日本周辺海域の防衛のための作戦及び海上交通の保護のための作戦を共同して実施する。
自衛隊は、日本の重要な港湾及び海峡の防備、日本周辺海域における船舶の保護並びにその他の作戦を主体的に実施する。
米軍は、自衛隊の行う作戦を支援するとともに、機動打撃力の使用を伴うような作戦を含め、自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する。


安保理決議1540号(2004年4月28日採択)に基づく日本の報告(ポイント)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/un_cd/gun_un/anpo1540_j_point.html
 すべての国は、核兵器、化学兵器又は生物兵器及びそれらの運搬手段の開発、取得、製造、所持、輸送、移転又は使用を企てる非国家主体に対し、いかなる形態の支援も提供することを差し控えることを決定する。

 また、すべての国は、自らの国内手続に従って、いかなる非国家主体も、特にテロリストの目的のために、核兵器、化学兵器又は生物兵器及びそれらの運搬手段の製造、取得、所持、開発、輸送、移転又は使用並びにこれらの活動に従事することを企てること、共犯としてこれらの活動に参加すること、これらの活動を援助又はこれらの活動に資金を供することを禁ずる適切で効果的な法律を採択し執行することを決定する。

「非国家主体」について
・日韓基本条約の第三条により、大韓民国政府は,国際連合総会決議第百九十五号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される。
・同条約第四条により、両締約国は,相互の関係において,国際連合憲章の原則を指針とするものとする。

日本政府の公式見解として、北朝鮮を国家としては認めていない。

▼PSIのミッションと「周辺事態に際して実施する船舶検査活動」の類似性
▽PSI
「拡散に対する安全保障構想」(PSI)海上阻止訓練「チーム・サムライ04」(2004年10月25〜28日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fukaku_j/psi/samurai04_gh.html
4) 訓練シナリオ概要
○ 某テロ組織が日本でのテロ攻撃を行おうとしている可能性がある状況で、日本国籍の容疑船舶が米国籍の容疑船舶からサリン関連物質と疑われる貨物を譲り受けようとしているとの情報を入手。官邸で情報収集体制の強化等を確認。海保庁は日本国籍の容疑船舶の捜索差押許可状の発布を受ける。
○ 自衛隊哨戒機が、航行中の米国籍の容疑船舶を公海上で発見、関係機関に通報。自衛隊及び海保庁が監視を継続。
○ 日本国籍及び米国籍容疑船舶が接近し、それぞれの船舶の船員が公海上で容疑物資の積み替えを開始。積み替えを阻止するため、海保庁巡視船が接近を試みたところ、両船舶は積み替えを中断し逃走。
○ 日本国籍の容疑船舶は、公海上で海保庁巡視船が停船させ、海保庁の部隊が乗船、捜索し、容疑物資を発見。簡易鑑定の結果、サリンであることが確認されたため、差押え。最寄りの港に回航し、容疑物資の分析を実施した結果、サリンであることが確定。容疑者を身柄付き送致。
○ 米国籍の容疑船舶は、海保庁及び海自からの情報に基づき、公海上で米及び米より要請を受けた豪・仏の艦船が追跡。米が容疑船舶を公海上で停船させ、豪、仏に対し、容疑物資の捜索への支援を要請し、合同捜索の結果、容疑物資を確保。米が容疑物資を分析及び海保庁からの情報と照合し、サリンであることが確定したため、これを押収。

▽船舶検査活動
実施の態様
一 航行状況の監視 船舶の航行状況を監視すること。
二 自己の存在の顕示 航行する船舶に対し、必要に応じて、呼びかけ、信号弾及び照明弾の使用その他の適当な手段(実弾の使用を除く。)により自己の存在を示すこと。
三 船舶の名称等の照会 無線その他の通信手段を用いて、船舶の名称、船籍港、船長の氏名、直前の出発港又は出発地、目的港又は目的地、積荷その他の必要な事項を照会すること。
四 乗船しての検査、確認 船舶(軍艦等を除く。以下同じ。)の船長又は船長に代わって船舶を指揮する者(以下「船長等」という。)に対し当該船舶の停止を求め、船長等の承諾を得て、停止した当該船舶に乗船して書類及び積荷を検査し、確認すること。
五 航路等の変更の要請 船舶に第二条に規定する規制措置の対象物品が積載されていないことが確認できない場合において、当該船舶の船長等に対しその航路又は目的港若しくは目的地の変更を要請すること。
六 船長等に対する説得 四の項の求め又は五の項の変更の要請に応じない船舶の船長等に対し、これに応じるよう説得を行うこと。
七 接近、追尾等 六の項の説得を行うため必要な限度において、当該船舶に対し、接近、追尾、伴走及び進路前方における待機を行うこと。


▼PSIにみる日米の目的

日、米、英、伊、蘭、豪、仏、独、スペイン、ポーランド、ポルトガル、シンガポール、カナダ、ノルウェー、ロシアの15 カ国をはじめとする60 カ国以上が、PSIの活動の基本原則を定めた「阻止原則宣言」を支持し、実質的にPSIの活動に参加・協力している。
これら15 カ国は、PSI発足後の一定期間、「コア・グループ」としてPSIの発展に中心的な役割を果たした。

この中にロシアは入っているが、中国と韓国は入っていない。

PSIは2006年5月8日から新たな段階へと移行。

アメリカとしてみれば、イラクの混迷で薄らいだものの、イラク戦争において「有志国連合」という新しい枠組みの有用性についてアピールすることも一つの目的であったと考えられる。

アメリカは世界規模の安全保障問題において、「国連安全保障理事会」というシステムに限界をみている。
それに代わるものとして、「有志国連合」という新たな枠組みを発足・発展させていく。
その試金石として、イラン・北朝鮮問題をとらえているのではないだろうか。

小泉政権の一貫したテーマは「戦後日本という時代との対決」だ。
アメリカにとってもそれは同じで、冷戦と9.11以後の世界に対応ができない恐れのある、「国連安保理に象徴される多国間安全保障システムの刷新」が対テロ戦争の一つのテーマではないだろうか。

大量破壊兵器拡散問題と拉致事件を中心とした人権問題は、いずれにせよ解決しなければならない問題である。
安保理付託に政治的な意味があるとするならば、安保理付託により否決された事案を「有志国連合」が解決に向かわせることで、国際社会にその能力と地位を認めさせることではないだろうか。
日米にはこの問題を解決しようという明確な意志がある。
したがって、ブッシュ大統領は安保理で否決もやむなしとみて、ボルトン国連大使を国連へ送り込んだのではないだろうか。

PSIの強化によって、中国は抜き差しならない状況に追い込まれる。
中国の打つ手は2つ。
北朝鮮問題に対して積極的に解決に向かうか。
それともテロ支援国家を束ねて米国を中心とした新たな「有志国連合」に対抗する勢力を形成するか。

ロシアと中央アジアに今回イランが加わった「上海協力機構」がその雛形となるのかもしれない。

今後、ロシアがキープレイヤーとなる。
ロシアは中国へ対処するために、日米への接近を図っており、北朝鮮問題において何らかのカードを日米に対して切る可能性がある。


◆MD
9.11テロはMAD(相互確証破壊)体制からの脱却を促したが、もう一つこのMAD体制を破壊し得る力を持つはずだったものがある。

それがMD。
弾道ミサイルを迎撃するミサイル防衛(BMD)。

MI file#15 MD from NewsJAPAN
http://blue-diver.seesaa.net/article/15813639.html

冷戦に勝利するために開発されたMD。
冷戦構造が未だ残る極東情勢。

2006年7月と8月、米海軍は「シャイロー」に加えて、同じく最新のイージス・システムを持つ「マスティン」を投入。

シャイローと同様の迎撃能力を持ったイージス艦2隻を配備すれば、日本は北海道から沖縄までの全域をノドンの脅威から守ることが可能とされている。これらに加えて暫定的な弾道ミサイル迎撃能力を持つイージス巡洋艦「レイク・エリー」の3隻態勢を布く。ノドン防空については、日本は小泉総理の任期中に、考えうる中で最高度の盾をその手にすることになった。

▼弾道ミサイル迎撃イージス巡洋艦「シャイロー」がもたらした極東の構造的変化

北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を決行したのは、この「シャイロー」がノドン型中距離弾道ミサイル迎撃実験において、2006年6月23日に撃墜に成功したためと考えられる。
2006年5月2日、米ミサイル防衛庁のヒックス海軍中将は、今年末までに、「現時点の計画では(今年末までに)迎撃艦6隻を太平洋に配備」する、と発表。

長距離弾道ミサイル用の迎撃ミサイル「SM3ブロック2」は、ICBMの迎撃が可能とされ、その脅威設定は通常1万km以上とされている。
「SM3ブロック2」は現在日米共同開発中であり、実戦段階にはない。

「シャイロー」配備に焦る北朝鮮は2005年9月20日に続いて、致命的な戦略的過ちを犯した。

北朝鮮は「シャイロー」に対抗するために、「ノドン」以上の能力を持つ長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射を試みるも、失敗。

これはハワイ周辺海域を照準としていたとされ、ブッシュ政権内の強硬派による軍事的圧力を後押しさせた。
米国内の世論も一気に硬化。

そして、日本においても「集団的自衛権の行使」という哲学的な命題に対して、決断を促した。

「テポドン2号」がもたらす決断。

ロフテッド軌道:
長距離弾道ミサイルを通常の発射軌道よりも高い角度で発射し、距離よりも高度を稼ぐというもの。
この発射方法だと高度が高いので、その分 落下スピードと衝撃力が増すことになる。
北朝鮮がグアムやハワイ、あるいはアメリカ本土を狙ってミサイルを発射した場合と似た角度になって区別がつきにくい。
例えばミサイルが発射されて、それがアメリカ本土を狙ったものだと判断して日本が『これが集団的自衛権の行使にあたる』と判断して迎撃しなかった場合。
それが実は日本に落ちてきたということにもなりかねない。
日本の集団的自衛権の問題を熟知していれば、それを利用して、ICBM級ミサイルをロフテッド軌道に発射し、日本攻撃に使う戦術もありうる。

NJ 2006/05/02
http://blue-diver.seesaa.net/article/17337737.html

日米によるミサイル防衛の最後のピースは「集団的自衛権を行使しうるか否か」である。


■小泉総理 戦略指針

時間的猶予のなくなってきた小泉政権下で、北朝鮮問題を前進させる方法としては、最大の支援国であり常任理事国でもある中国と北朝鮮との関係を分断する必要がある。

中国の戦略としては、
・イラン、北朝鮮問題の混迷を深めさせることで、米国や日本などを疲弊・孤立化させる。さらには日米を分断する。

米国としては、情勢の悪化が見込まれるまま何の手も打たないということはありえない。
米国一国のみでは多正面作戦を取ることが困難であるが、同盟国と共同対処をするということは可能である。

米国にとっても、世界戦略の維持という観点から、米日同盟は生命線となっている。

したがって、日本の戦略としては、

中国が北朝鮮への援助を止めることで生まれる国益が、北朝鮮への援助をすることで生まれる国益を上回る行動をとる必要がある。


その第1段階と見られる動きが、4月に浮上した竹島周辺海域・海底調査とみられる。

ttp://www.sankei.co.jp/news/060420/sei063.htm
 同海域では海上自衛隊のP3C哨戒機が通常の警戒監視活動を行っている。
 舞鶴港(京都府)では海自護衛艦隊の集合訓練が18日から実施されており、イージス艦「ちょうかい」(長崎県佐世保基地所属)をはじめ、護衛艦など計22隻が同港に入港している。
(04/20 12:21)

ttp://www.dii.jda.go.jp/msdf/maizuru/pr.files/18nengoeitaisyuugoukunren.html
4 その他
 4月22日(土)の舞鶴西港での一般公開は、都合により取り止めとなりました。
(海上自衛隊 護衛艦隊集合訓練)

日本は、このアプローチを行う際に、軍事的プレゼンスによるバックアップを視野に入れていた可能性がある。

対テロ戦争に勝利するためには、その背後にあるテロを支援しようという国家の動きの分断と封じ込めが必要と考えられる。


■中国の北朝鮮問題解決へのインセンティブとなる可能性のある、日本が北朝鮮問題解決のために行う行動

中国共産党にとっての悪夢は、

日本が米国とともに「集団的自衛権の行使」に繋がる行動を取ること

だろう。

台湾問題を抱える中国にとって、日本と米国が共同の防衛ラインを台湾海峡に引くことは、最も避けるべき事態である。
したがって、日本が米国とともに集団的自衛権の行使をするという既成事実化を何としても回避する必要がある。

米国海軍と海上自衛隊は、西太平洋において中国海軍に対して優位にある。


▼北朝鮮侵攻計画

元国務省 北朝鮮担当官
ケネス・キノネス氏
「強硬派の意見は一致していて、北朝鮮が外交的な解決を行わなければ、アメリカ政府はほかの選択肢を採るべきだ。例えば経済的な圧力を強化するとか、あるいは期限を夏までとして軍事行動を起こすといった強い姿勢を示しているのです」

・2005年4月22日、ブッシュ政権は北朝鮮に対して、北朝鮮の核開発をめぐる六カ国協議に関連し協議再開に応じなければ武力行使もあり得ると警告、同時に北朝鮮に対する軍事行動の具体案を検討していた。

国防総省による北朝鮮侵攻計画
(1)北朝鮮船舶の海上封鎖
(2)北朝鮮攻撃を想定した米軍による大規模演習
(3)武力攻撃の準備−の三段階。
武力攻撃に至った場合の作戦計画
 ・平壌周辺の軍事施設、政府関係施設を標的とするミサイル攻撃が中心。
 ・放射能の拡散を防ぐために、寧辺の核施設への攻撃は見送る。
 ・横須賀から米空母、ミサイル搭載の潜水艦を北朝鮮近海に派遣、さらに日本の海上自衛隊による偵察活動とイージス艦の日本海派遣−
 などが兵力使用の中心となっている。
ttp://www.sankei.co.jp/news/060105/morning/05iti001.htm

2006年5月8日
北朝鮮船籍の船舶の [1]保有 [2]リース契約 [3]稼動 [4]保険供与を禁止。

2006年6月26日
RIMPAC/環太平洋合同演習環太平洋合同演習“Valiant Shield”開始。
(補足:Valiant Shield 2006|Officail U.S. Military Unclassified Exercise Website
 http://www.pacom.mil/exercises/vs2006/

2006年6月29日
日米首脳会談。

ブッシュ大統領
「(北朝鮮の)ミサイル発射は
 受け入れられない」

小泉総理
「万が一
 ミサイルの 発射するようなことが
 北朝鮮に起きたら――
 それは
 さまざまな
 圧力 というものを
 話し合いました」

2006年7月6日
日高義樹氏
「ミサイルが米軍基地や日本など米国の同盟国へ向かうような場合、米国は“金正日邸を撃つ”と北朝鮮に伝えてある」


▼「集団的自衛権の行使」へと繋がる可能性のある、北朝鮮海上封鎖への日米共同対処

・小泉政権下で決断された北朝鮮工作船撃沈事件
・米軍軍事演習『リザルタント・フューリー(怒りの結集)』
・ブッシュ大統領が提唱するPSI

○朝鮮総連関連組織が日本でのテロ攻撃を行おうとしている可能性がある状況で、日本国籍の容疑船が北朝鮮の容疑船舶からテロ関連物質と疑われる貨物を譲り受けようとしているとの情報を入手。
米軍事衛星、北朝鮮からテロ関連物資搭載の容疑船出航を捕捉。日本からも容疑船が出港。
防衛庁電波傍受施設、容疑船が使用する周波数帯を朝鮮労働党使用のものと同一と解析。
官邸で情報収集体制の強化等を確認。
海保庁は容疑船舶の捜索差押許可状の発布を受ける。
自衛隊司令部、「北朝鮮工作母船情報アリ」として監視エリア指定、上空からの監視ミッションを航空部隊に命令。
小泉総理、防衛出動待機命令を承認。
グアムのアンダーセン基地からB-52爆撃機が『AMSTE』型爆弾を搭載して離陸。
○自衛隊哨戒機が、航行中の容疑船舶を公海上で発見、関係機関に通報。自衛隊及び海保庁が監視を継続。
○容疑船舶が接近し、それぞれの船舶の船員が公海上で容疑物資の積み替えを開始。積み替えを阻止するため、海保庁巡視船が接近を試みたところ、両船舶は積み替えを中断し逃走。
○海上自衛隊P3-C哨戒機、公海上において北朝鮮の容疑船舶を目視。
○海保庁巡視船、再接近を試みるも、北朝鮮船舶から発砲。
○海上自衛隊艦船、工作船を引き続き追跡。
○北朝鮮工作船、自国領海内に接近。
○B-52爆撃機、工作船を目視。

現在の状況は、既にこのような状況を作り出す必要はない。
北朝鮮の弾道ミサイルを日米共同で撃墜する。
「集団的自衛権の行使」はそれで事実として残る。

次の段階のMDの運用開始。
国連憲章第7章とPSIによる海上封鎖。
MD完成の最後のピースであり、そして60年前封印された「集団的自衛権」という小泉総理の目指す最後の聖域。

5年の間に積み重ねられた布石。
事態が外交的決着にたどり着くまでは、自動的に発動され続ける。


状況の変化と事態の進捗。
現実と理想が国民の前に引きずり出される。
現実と理想のバランスの破綻が示された時点で、小泉総理はその身を引くのかもしれない。


1945年8月30日。
1951年4月11日。

ある改革者の理想主義が構築した聖域。


2001年4月26日。
2006年9月。

ある改革者の現実主義が破壊した聖域。

これは、時代の戦いでもある。
改革者は沈黙する。
理想は現実へと、現実は理想へと反転する。

聖域の喪失。


□聖域と沈黙

 宗教でも国家でも、それを長く維持していきたいと思えば、一度といわずしばしば本来の姿に回帰することが必要である。
 それで、改革なるものが求められてくるのだが、自然に制度の改革ができる場合は、最も理想的である。だが、なにかのきっかけでその必要に目覚め、改革に手をつけた場合も長命だ。
  つまり、はっきりしていることは、なんの手も打たずに放置したままでいるような国は、短命に終らざるをえないということである。
  改革の必要性は、初心にもどることにあるのだが、なぜそれが有益かというと、それがどんな形態をとるにしても共同体であるかぎり、その創設期には必らず、なにか優れたところが存在したはずだからである。そのような長所があったからこそ、今日の隆盛を達成できたのだから。
  しかし、歳月というものは、当初にはあった長所も、摩滅させてしまうものである。そして、摩滅していくのにまかせるままだと、最後には死に至る。
  本来の姿にもどることは、共和国の場合、自発的判断の結果か、それとも外からの圧力によるかのどちらかであることが多い。
  だが、共同体の活性化というこの問題を論ずるにあたって、やはり必要に目覚めた人々の苦労によって為されるほうが、外からの圧力によって無理強いの形で為されるよりも、良策と信ずる。
――マキアヴェリ『政略諭』


2003年5月22日−23日
クロフォードにおける日米首脳会談。

1) 「世界の中の日米同盟」/日米交流150周年
 両首脳は、日米交流150周年の機に「世界の中の日米同盟」を強化することを約した。

小泉総理
「ペリー提督が日本を訪問してから150年
 今や、日本とアメリカの関係は2国間関係だけじゃない
 世界の中の日米関係を強化していこうということで合意することができました」

在NY日本国総領事館
日米交流150周年記念
http://www.cgj.org/150th/html/home.htm
 1853年にペリー提督が来航、翌54年、日米和親条約の締結をもって日本とアメリカの外交関係が成立し、日米間の本格的な交流が始まりました。
太平洋を隔てた日米両国が出会ってから150年間、両国は様々な関係を経験してきましたが、今日、日米両国は民主主義を共有する同盟国として、政治や経済、文化など様々な分野で相互交流を発展させており、その関係は最も重要な二国間関係と称されるまでになっています。
 150周年という大きな歴史の節目を迎え、将来に向け日米両国の友情を一層深め、国際社会において日米両国が果たすべき役割を考える上で、私たちは両国間の歴史を振り返り、その教訓に学ばなければなりません。
  小泉総理とブッシュ大統領からのメッセージ

在NY日本国総領事館
米使節団
小栗上野介・・・一本のネジ
http://www.cgj.org/150th/html/kanrin9.htm
  使節団の目付、小栗豊後守
使節には、作家司馬遼太郎氏が著書「明治という国家」の中で、「明治の父」と呼んだ小栗豊後守(のち上野介)がいました。激動の幕末、幕府が滅びるのを十分承知の上で、改革を断行し、非業の最期を遂げた幕府の俊秀でした。小栗は日本の将来への不安を抱き、近代化のための幕府大改革に取り組みましたが、このような熱い思いを抱かせたのは、若き小栗がアメリカで見た西洋文明の驚くべき技術、工業力だったのです。
 小栗は、パナマ地峡を鉄道で横断する時、鉄道建設費用の調達方法から株式会社の仕組みを理解し、ワシントン海軍造船所の姿に驚嘆し、アメリカから一本のネジを持ち帰りました。このネジが技術と近代工業のシンボルだったのです。小栗は後に幕府財政破綻の中、反対を押し切り、巨額の予算を要する横須賀造船所を建設しました。彼は「あのドックができあがった上は、たとえ幕府が亡んでも"土蔵付き売家"という名誉を残すでしょう。」と言い、これが次の時代に大いに役立つことを知っていました。これが若き小栗のアメリカ訪問が産んだ結晶の一つであると言われています。

■明治維新の聖域

いよいよ出来の上は、旗号に熨斗を染出すも、なお土蔵付きの売家の栄誉を残すべし
――小栗忠順


小栗忠順。

・横須賀製鉄所・艦船製造所(横須賀ドック)の建造。
「軍艦を有する以上は、破損は有中の事なれば、これを修復するの所なかるべからず」
・横須賀製鉄所の運営には必然的に近代的なマネージメントが要求された。小栗は、製鉄所首長のフランス人青年ヴェルニーとともに、組織、職務分掌、雇用規則、残業手当、社内教育、洋式簿記、自然保護、流通機構などの近代経営方法を導入したという。そのため、「近代的マネージメントシステムの父」とも呼ばれた。
・「六備艦隊」構想。後の連合艦隊に連なる構想で、日本を六つの地区に分け、江戸湾に東海艦隊、函館に東北艦隊、能登に北海艦隊、下関に西北海艦隊、長崎に西南艦隊、大阪に南海艦隊を置く。
・軍制(歩兵・騎兵・砲兵の確立)の充実。歩兵・騎兵・砲兵の三兵隊編成と陸軍教育は非常に優れたもので、桂小五郎(木戸孝允)も「関東の政令一新し、兵馬の制頗る見るべきものあり」と、幕府の軍制を高く評価したと言われる。
・日本最初の株式会社「兵庫商社」や諸色会所(商工会議所の前身)の設立。
「外国人と取引致し候には、何れも外国交易の商社(西名コンペニー)の法に基き申さず候ては、とても盛大の貿易と御国の利益に相申すまじくと存じ奉り候」
(小栗の建白書)
・横浜フランス語伝習場(フランス語専門学校)開設。
・滝野川反射炉及び火薬製造所、小石川大砲製造所の建設。
・湯島鋳造所の改造。貨幣の鋳造所。
・中央銀行設立の計画。
・新聞発行の計画。
・書伝箱(郵便)・電信事業の建議。鉄道建設(江戸・横浜間)の建議。
・ガス灯設置の建議。郡県制度(私案として大統領制も視野に入れての)建議。後の廃藩置県に連なる。


 小栗は、無口な実行家で、文章もほとんどのこしませんでした。遣米使節のひとびとは多くの記録、随想のたぐいを残していますが、小栗はそういう意味でも沈黙しています。不気味なほどというか、いっそ沈黙がかれの人格表現というか。
(司馬遼太郎 著 『明治という国家』)

 しかれども小栗はあえて不可的(インポシブル)の詞を吐きたる事なく、病の癒ゆべかざるを知りて薬せざるは孝子の所為にあらず、国亡び身斃るるまでは公事に鞅掌するこそ真の武士なれといいて屈せず撓まず、身を艱難の間に置き、幕府の維持を以って進みて己が負担となせり。
(福地桜痴 著 『幕末政治家』)

 この場合の小栗の心事は、明快でした。武士として説くべきことを説いた。容れられなかった以上は、わが事が畢ったわけで、それ以上のことはしません。政権が消滅した以上、仕えるべき主もありませんから、江戸を去り、上州の権田村(群馬県費渕村権田)というかれの知行地にひきこもりました。
  のち、関東平野に入った新政府軍は、右の権田村において小栗をとらえ、打首にしています。ばかなことをしたものです。新政府は、徳川家とその家臣団に対し、いっさいこれを罪にする、という革命裁判をやっておらず、やらなかったところが新政府のよさですが、小栗に対してだけは例外で、小栗の言い分もきかず、また切腹の名誉も与えず、ただ殺してしまいました。小栗が、おそろしかったのです。小栗の人物は過大に西のほうにつたわっていて、これを野に放っておけばどうなるかわからない、という恐怖が、新政府側にあったのでしょう。このあたり、やることの気品という点では、徳川の遺臣にくらべ、新政府のほうがガラが悪かったようです。
(中略)
 小栗は、福沢諭吉のいうところの「瘠我慢」をつらぬいて死にました。明治政府は、小栗の功も名も、いっさい黙殺しました。
(司馬遼太郎 著 『明治という国家』)

大隈重信
「小栗上野介は謀殺される運命にあった。なぜなら、明治政府の近代化政策は、そっくり小栗のそれを模倣したものだから」
http://www.yokosuka-lib.jp/jinbutu/ogri/ogritop.html

「お静かに――」
これが彼の最後の言葉となった。
1868年4月6日、小栗上野介忠順、斬首。
享年42。

ここに明治という国家の限界がある。
明治維新の設計図を描いたその根源と、そしてアメリカとの最良のパイプ役を、智への畏れから斬り捨ててしまった。
因果は東京裁判に巡ってくる。

維新という日本の回帰すべき姿についた一つの瑕疵。


■戦後日本の聖域
 マッカーサー元帥は、自ら〈聖域〉と称して、巨大な執務室に立て篭もり、部下を寄せ付けない〈孤高の人〉であったが、このホイットニー准将だけはその〈聖域〉に立ち入ることができたたった一人の将軍だった。
 (三根生久大 著 『日本の敗北』アメリカ対日戦略 100年の深謀)

▼袖井林二郎 『マッカーサーの二千日』

青い眼の大君 ダグラス・マッカーサー

 日本の軍隊が完全に壊滅すれば、ヒロヒトの神聖も国民の目の前で壊滅してしまう。そうすれば精神的虚脱が生じ、新しい考えをうけ入れる機会ができよう。日本国民は彼らに敗北をもたらした多くの手段に対して、恐怖と尊敬をあわせ持つことは避けられないだろう。彼らは力が正義をつくることを信じて、われわれアメリカ人こそ正義の士であると結論するだろう
――ダグラス・マッカーサー


 天皇を通じて日本国民を支配する、それこそまさに将軍家の機能に他ならなかった。明治維新によって最後の将軍が廃絶されて以来、七十余年ぶりで、日本は将軍を戴くことを強制される。しかも史上初めて戦いに敗れての結果であってみれば、乗り込んでくるショーグンが紅毛碧眼の偉丈夫であることは是非もなかった。幕末に外国の使節が日本の真の実力者である徳川将軍を「大君(tycoon)」と呼んだひそみにならえば、我々がここで対面するのは「青い眼の大君」である。
(中略)

「われら主要参戦国の代表はここに集まり、平和恢復の尊厳なる条約を結ばせようとしている。相異る理論とイデオロギーを主題とする戦争は世界の戦場において解決され、もはや論争の対象とはならなくなった。また地球上の大多数の国民を代表して集まったわれらは、もはや不信と悪意と憎悪の精神を懐いて会合しているのではない。否、ここに正式にとりあげんとする諸事業に前人民を残らず動員して、われらが果たさんとしている神聖な目的に叶うところのいっそう高い威厳のために起ち上らしめることは、勝者敗者双方に課せられた責務である。
 この厳粛なる機会に、過去の出血と殺戮の中から、信仰と理解に基礎づけられた世界、人間の尊厳とその抱懐する希望のために捧げられたより良き世界が、自由と寛容と正義のために生まれ出でんことは予の熱望するところであり、また全人類の願いである。
 日本軍の受諾せんとする降伏条件は、いまや諸君の前の降伏文書の中に記載されている。連合国最高司令官として、予の代表する諸国の伝統に従って、降伏条件の完全、迅速、忠実なる遵守を確かめるために必要とする一切の手段をとると同時に、正義と忍耐をもって予の責務を遂行することは、予の堅き決意であることを声明する・・・・・・」
1945年9月2日 対日戦勝利の日「YJデー」 米戦艦「ミズーリ号」での演説

 日本が降伏文書に調印し占領が正式に始まったその日のうちに、占領軍最高司令官マッカーサーの存在は、天皇の心の中に深く刻みつけられた。すぐれた媒介があったためとはいえ、その源はミズーリ号艦上のスピーチにある。その意味ではこれは日本の歴史を決定したスピーチといえよう。マッカーサーは二千日の在日の間に、日本の国民や指導者を前にした公開の演説または放送を全くしていない。文書による声明か下僚による代読だけである。それまで多くの機会に演説を行ない、雄弁家として知られたマッカーサーは口をつぐんでしまったかの観がある。

 彼は次第に自分自身をはるか高みに押し上げて、天皇と現存する政府とを通じてリモート・コントロールを行なうのだが、それにしても横浜からでは働きかける対象に遠すぎた。日本政府はGHQを横浜に閉じこめようとしていたが、彼は東京にでて来なければならない。将軍には首都に城が必要なのである。
(中略)

「沈思黙考する遍在神」

 戦いにおける勝者は、勝っただけでは単に敵より強かったか運がよかったにすぎない。彼が力と戦運に恵まれただけでなく、正しかったからこそ勝ったのだということを示すためには、勝者は敗者を裁かなければならない。敗者を断罪することによって、勝利が完成する。太平洋戦争に関する三つの戦犯裁判を指揮することによってマッカーサーはそれを果した。三つとは、マニラの虐殺に代表されるフィリピンにおける残虐行為の責任を問われた山下本文大将の裁判、パターン「死の行進」の責任で起訴された本間雅晴中将の裁判、そして日本の戦争責任を問われた二十八人の指導者にかかわる「東京裁判」である。いずれの場合も、マッカーサーは総司令官として、裁判規則を定め、判決を最終的に審査し、それを承認した。法廷に姿を現わすことは決してなかったが、彼は、これら三つの裁判のすべての上に、「あたかも沈思黙考する遍在神(オムニプレゼンス)のように……鎮座していたのである」(ベアワルド、袖井訳『指導者追放』)。

マッカーサーは
「今日の世界でキリスト教を代表する二人の指導的人物こそ、自分を法王だとさえ考えている。法王が精神的な面で共産主義と戦っているとすれば、かれは地上でこれと取り組んでいるのだ、という考えだ」(『マッカーサーの謎』)。だから、改革の中でもっとも根本的な――そしてそれだけに困難な――改革である、日本国民の精神改革に、彼が力を注いだのは当然であろう。
  (中略)

 だが日本人がキリストを求めなかった最大の理由は、彼らの多くが物質的な復興=繁栄という現世の利益を追うことに専念していたからだったのではないだろうか。それを可能にしてくれた「救世主」としてマッカーサーがいる。それで足りなければ天皇を敬うことも許されている。それ以外の権威を必要とする理由がどこにあろう。
(中略)

「天皇は目に涙を浮べられて、日本再建についてのマッカーサー将軍の態度と関心に感謝の言葉を述べられた。天皇は、国民がマッカーサー将軍を“神風”と考えている、とおっしやられた。ペリー提督はアメリカヘの日本のトビラを開いたが、マッカーサー将軍はアメリカの心を日本に向って開いてくれた」

 マッカーサーがこれを書くために用いた民政局の資料によると’“Kamikaze”は divine influence、つまり「神の威霊」となっている。神に奉仕しているつもりのマッカーサーは、そのあまりに強烈な個性と尊大さの故に、日本人の目には神そのものに映ったのであろうか。そうだとしたら、キリスト教が占領下日本にひろまらなかったもう一つの理由は、マッカーサー自身にあることになる。


1867年10月14日の大政奉還より、70年余の時を経てダグラス・マッカーサー元帥は占領した日本に君臨した。
日米両国史上に残るこの複雑な人物は、キリスト教の伝道者たらんとして、また維新以来の将軍としてこの国を改造した。

小泉総理の所信表明演説に掲げられた"聖域"と"維新"とは、この戦後日本を造った人物へ向けられたものとして私は捉えている。

雄弁家として知られたマッカーサーは口を噤み、次第に自分自身を遥か高みに押し上げていった。
なぜなら彼は、沈黙の持つ力を知っていたからだ。

沈黙と劇的なエピソードは、人々に神性を見出させる。


■戦後日本が背負った“原罪”

▼江藤淳 著 『閉ざされた言語空間 占領軍の検閲と戦後日本』
 ここで看過すことができないのは、このように検閲の秘匿を強制され、納本の遅延について釈明しているうちに、検閲者と被検閲者とのあいだにおのずから形成されるにいたったと思われる一種の共犯関係である。

 被検閲者である新聞・出版関係者にとっては、検閲者はCCDかCI&Eか、その正体もさだかではない闇のなかの存在にほかならない。しかし、新聞の発行をつづけ、出版活動をつづけるというほかならぬそのことによって、披検閲者は好むと好まざるとにかかわらず必然的に検閲者に接触せざるを得ない。そして、被検閲者は、検閲者に接触した瞬間に検閲の存在を秘匿する義務を課せられて、否応なく闇を成立させている価値観を共有させられてしまうのである。

  これは、いうまでもなく、検閲者と被検閲者のあいだにおけるタブーの共有である。この両者の立場は、他のあらゆる点で対立している。戦勝国民と戦敗国民、占領者と被占領者、米国人と日本人、検閲者とジャーナリスト――だが、それにもかかわらずこの表の世界での対立者は、影と闇の世界では一点で堅く手を握り合せている。検閲の存在をあくまで秘匿し尽すという黙契に関するかぎり、被検閲者はたちどころに検閲者との緊密な協力関係に組み入れられてしまうからである。

 タブーは伝染すると、文化人類学者はいっている。「タブーとなっている人や物に接触したものは、それ自体がもとのタブー同様危険なものとなり、新たなる汚染の中心となり、共同体にとっての新たな危険の源泉となる」つまり、被検閲者は、タブーとの接触の結果「もとのタブー同様危険なもの」に変質し、「新たな汚染の中心」となり、必然的に「共同体にとっての新たな危険の源泉」とならざるを得ない。

 この伝染現象の動因とたっているのは、恐怖以外のなにものでもない。検閲者の側における「邪悪」な日本に対する恐怖と、被検閲者の側における闇の彼方にいて生殺与奪の権を握っている者たちへの恐怖―――新聞関係者を、国家に対する忠誠義務から解放した「新聞と言論の自由に関する新措置」指令のごときも、それだけではおそらく占領軍当局の期待通りの効力を発揮し得なかったにちがいない。表の世界の"解放"は、影と闇の世界の黙契を支える"恐怖"の裏付けを得て、はじめて日本人の「精神にまで立入り」、これを変質させる手がかりをつかんだのである。

 重要なことは、検閲の存在をあくまでも秘匿するというCCDの検閲の構造そのもののなかに、被検閲者にタブーを伝染させる最も有効な装置が仕掛けられていた、ということである。この点で、CCDの実施した占領下の検閲は、従来日本で国家権力がおこなったどのような検閲と比較しても、全く異質なものだったといわねばならない。

 「出版法」「新聞紙法」「言論集会結社等臨時取締法」等による検閲は、いずれも法律によって明示された検閲であり、被検間者も国民もともに検間者が誰であるかをよく知っていた。そこで要求されたのは、タブーに触れることではなくて、むしろそれに触れないことであった。検間者は被検間者に、たとえば天皇の尊厳を冒涜しないというような価値観の共有を要求したからである。
  つまり、戦前戦中の日本の国家権力による検閲は、接触を禁止するための検閲であったということができる。天皇、国体、あるいは危険思想等々は、それとの接触が共同体に「危険」と「汚染」をもたらすタブーとして、厳重に隔離されなければならなかった。被検間者と国民は、いねば国家権力によって眼かくしをされたのである。

  これに対して、CCDの検閲は、接触を不可避にするための検閲であった。それは検閲の秘匿を媒介にして被検間者を敢えてタブーに接触させ、共犯関係に誘い込むことを目的としていた。いったんタブーに触れた披検閲者たちが、「新たな汚染の中心」となり、「邪悪」な日本の「共同体」にとっての「新たな危険の源泉」となることこそ、検間者の意図したところであった。要するに占領軍当局の究極の目的は、いねば日本人にわれとわが眼を刳り貫かせ、肉眼のかわりにアメリカ製の義眼を嵌めこむことにあった。

(中略)

《……反抗や敵意、あるいは通敵協力者の烙印を捺されはしないかという恐怖を態度に表わす者は皆無であった。あるいはもしいたとしても、その感情を巧みに隠蔽していた》

(中略)

 検閲を受け、それを秘匿するという行為を重ねているうちに、被検閲者は次第にこの網の目にからみとられ、自ら新しいタブーを受容し、「邪悪」な日本の「共同体」を成立させて来た価値体系を破壊すべき「新たな危険の源泉」に変質させられて行く。

 この自己破壊による新しいタブーの自己増殖という相互作用は、戦後日本の言語空間のなかで、おそらく依然として現在もなおつづけられているのである。


日本は第2次世界大戦後、「罪」を背負った。
ここではその正義に関しては問わない。
スティグマが刻まれたという事実のみを記す。

▼永井均 『これがニーチェだ』 講談社現代新書
 だが、ニーチェの議論の真骨頂は、じつはここから先にある。「罪」の、とりわけキリスト教的「原罪」の観念の起源の探究が、次の課題である。それは、債務−債権関係と良心のやましさとを、二つの源泉とする。
 たとえば、責任の観念が成立する以前、罰は、受けた被害に対する被害者の怒りの爆発という意味しかもたなかった。苦痛を与えられたら苦痛を与え返せ。要するにお返しである。だが、なぜお返しをするのか。それは、加害者と被害者の関係が債務者と債権者の関係と感じられていたからであろう。苦痛は、金品とは逆に、与えた者が負債を負って債務者となり、与えられた者が債権者となる。つまりそこにはいわば、お返しすべき約束と責任が暗黙のうちに生じているのである。債務−債権関係の起源は、このように古い。
 こうした債務−債権関係は、現存する人間を越えて、共同体と祖先の間にも成立するようになる。祖先の犠牲と功績に対する畏怖心、祖先に対する負債の意識は、絶対的な債権者として神という表象を生み出すにいたる。ユダヤ教の神がその典型である。だが、この負債の意識は、それだけではまだ、宗教的な意味は持っていても、道徳的な意味は持っていない。それが道徳的な意味を持つためには、やましい良心がそれを自己の内面に取り込む必要があるのだ。
 やましい良心の起源は人間の内面化にある。残酷さに祝祭的な喜びを覚えるような人間の攻撃的な本能が、何らかの力によって外に発散することを妨げられ、はけロを失って内へと祈り返したとき、そこにやましい良心が成立するのだ。自分の心の中の苦悩に自虐的な快楽を感じること――それがやましい良心の本質である。「それと同時に、人類が今日なお快癒していない、最も重い、最も不気味な病気が持ち込まれた。人間が人間であることに、自分自身であることに苦しむという、あの病いである。それは、人間が動物的な過去から強引に引き離され、新たな状況と生存条件へ飛躍し突進したことの帰結であり、これまで人間の力と喜びと恐れの基礎となっていた古い本能へ宣戦布告したことの帰結にほかならない」(『道徳の系譜』)。こうして、人間は反省意識による自己観察を知ることになり、これまで地上に出現したことのない「将来性に富んだあるもの」(同)、すなわち精神となった。この病気とともに、人間はいねば一個の創造的な芸術作品となったのである。
 そのやましい良心があの負債を自己の内面に取り込むとき、外面的な負債(Schulden)は内面的な罪責(Schuld)に変わる。キリスト教の本質は、個々の人間が唯一の神に対して負債を、しかも自力ではけっして償うことができない負債を負っている、という解釈の創造にある。
  自分ではけっして償うことのできない罪――だが、この解釈こそが人間を救うのである。はけ口を失った不安な生は、「罪人」という恪印を押されることによって、はじめて意味を待つからである。人間の生全体を「罪」という観点から意味づける、新たな強力な道徳空間が、こうして成立する。
 この過程は、誰も考えつかないような、じつに意外な、途方もない、最後の一手によって、完成することになる。すなわち、キリストの磔刑である。債権者の方がなすすべもない債務者のために自分を犠牲にするという恐るべき奇策である。「神御自身が人間の罪のために自分を犠牲にされた、神御自身が身をもって支払いを引き受けてくださった、神こそはわれわれ自身が返済できなくなったものをわれわれに代わって返済してくださる唯一の方であられるのだ、――債権者が債務者のためにみずからを犠牲にする、それも愛ゆえに(これが信じられようか?――)債務者への愛ゆえに!」(『道徳の系譜』)
 この返済は、それが知らされてしまったならば、内面化された、精神的に深められた、祈たな負債を生み出すことになるだろう。誰にも借金などした覚えのない者に向かって、こう吹聴してまわる人物がいたらどうだろうか。「まだ気づいていないかもしれないが、おまえは実は莫大な借金をしていたのだ。でも、安心しろ。おまえのその借金は、なんともう俺たちの親分が支払ってくれたのだから」。これを間いて、身に覚えのない者も、つい感謝したくなるだろうか。私ならその人にこう答えたい。「きみがそれを吹聴してまわるかぎり、私はきみを信用できない。人の借金を(愛ゆえに)肩代わりしてくれるほどの方なら、そのことが知られることを望まないであろうから。きみは親分さんを利用して新たな債権者になろうとしているね? きみのその行動そのものが、きみの言説の嘘をすでに示しているのではないか?」
  良心のやましさの成立は、自分で自分の生の現実を知り、自分で自分を統御する、新しい人間の可能性を意味した。だが、キリスト教の僧侶の介入によって、事態は意外な方向に展開したのである。転倒した形ではあっても、敵に向けられていたあの攻撃的本能が、自分に向けかえられ、自分の存在それ自体をやましいものと考える、神の前にひれ伏すしかなすすべのない、精神の奴隷が誕生したのである。
  (中略)
 返済を吹聴してまわるのは、パウロをはじめとするキリスト教の僧侶たちである。ニーチェは彼らを禁欲主義的僧侶と呼ぶ。彼らの介入によって、やましい良心が負債を罪として内面に取り込むようになるとき、人間は神に対して償うことができない負債を負った罪人となるのだ。罪人たちの恐怖を鎮める力を待つのは僧侶だけだ。肉体の病理を知りそれを統御できるがゆえに、医師たちが病人たちを支配する権力を待つのと同様、精神の病理を知りそれを統御できるがゆえに、僧侶たちは「罪人」たちを支配する権カ――この世を越えた絶対的な権力――を持つことになる。M・フーコーのいう牧人型権力の出現である。
 無によって支配され、無に向かって方向づけられた、魂の麻薬患者が、つまりニヒリストが、こうして誕生する。いや、そうではない。それは充実した、意味のある生なのだ。僧侶の方向づけのおかげで、さ迷えるやましい生は、はじめてひとつの一貫した意味を待ったのだ。「これまで人類の頭上をおおっていた呪いは、苦悩そのものではなく、苦悩に意味がないということであった。しかるに、禁欲主義的理想は、人類に一つの意味を提供したのだ。(中略)だが、この解釈は――疑う余地なく――新たな苦悩をもたらした。より深い、より内面的な、より有毒な、より生を蝕む苦悩である。それはあらゆる苦悩を罪というパースペクティヴのもとに引き入れたのである。……にもかかわらず――人間はそれによって救われたのだ」(『道徳の系譜』)。
 われわれは自分の存在の意味の問題に苦しんでいるので、苦悩という最も強い潜在的な力をもっていたものに意味が与えられて、そのマイナスのパワーがプラスに転化することは、大変な喜びなのである。なぜなら、それぱ、苦悩の問題と意味の問題を、一挙に、しかもたぐい稀なほどの力をもって、解決してくれるからである。僧侶は、この世での苦悩の原因を取り除いてはくれないが、それに意味を与えることで、生に希望を与えてくれるのだ。
 そうなってしまえば、僧侶のたくらみを見抜き、その誘惑を拒否する者は、まさにそのことによって、最も罪深い者とされるほかはなくなる。また、意味のある生をうらやましく感じ、しかもなお僧侶の誘惑には乗り切れない者は、そのことによって、また別の種類のニヒリスト――自分の生の空しさを嘆く種類の――にならざるをえなくなる。空間がつくりかえられてしまったのである。
 (中略)
 ところで、この僧侶自身は、いったい何者なのだ? ニーチェは言う。「禁欲主義的僧侶ぱ、別の者でありたい、別の他にありたいという願望の化身である(中略)だが、ほかならぬ彼のこの願望こそが、彼をこの世に縛りつけるのだ。この力ゆえにこそ、彼はこの世で人間として存在するためのさらにいっそう有利な条件をつくりだすために努力せざるをえない道具と化す。――この力のゆえにこそ、あらゆる種類の出来損ない(中略)といった全牧畜の牧人となって彼らを導き、本能的に、彼らを生存につなぎ止めるのである。(中略)禁欲主義的僧侶、この外見における生の敵、この生の否定者、――彼こそが生を護るきわめて大きな力であり、肯定を生み出す力でもあるのだ」(『道徳の系譜』)。ニーチェがけっして単純な思想の宣伝家ではなく、繊細な認識者であり探究者であることが、この引用からもわかってもらえると思う。つまり、牧畜たちとはちがって、この牧人には力があるのだ。
 その創造的な力が、この世の現実を否定する意志と結びついて超越的な背後世界(神、天国、等)を捏造し、その観点からこの世の生に意味を与えたとき、禁欲主義的理想が生まれる。背後世界を信じることはこの世で禁欲的であることを強いるからだ。禁欲主義的僧侶とは、自分の本能の力だけで、このような転倒したパースペクティブを打ち立て、みずからそれを生きることができる力を待つ者のことである。だが、その僧侶の生が貫徹されるためには、不安におびえるルサンチマン的弱者の存在が不可欠なのである。そこに完璧な相互依存関係が成立する。僧侶は弱者の「傷から来る痛みを鎮めながら、同時にその傷口に毒を注ぐ」(『道徳の系譜』)。ということはつまり、弱者は傷口に毒を庄がれながらも、その傷から来る痛みを僧侶に鎮めてもらうのである。
「人間のこの本質的に危険な存在様式、すなわち僧侶的な存在様式という土壌の上で、およそ人間というものがはじめて一個の興味ある動物となったのであり、これによってはじめて人間の魂はより高い意味で深さを獲得し、そして邪悪になったのである」(『道徳の系譜』)。つまり、人間という動物はここにおいてはじめて深い意味で悪くなったのであり、興味深い人間的現象のすべては、この悪にその起源を持つのである。
 僧侶は、転倒したパースペクティブの内部においてではあるが、力への意志に活路を与えることに成功した。これは特筆すべきことである。その土壌の上で、自己の罪過をごまかすことに対する極度の潔癖さが、「良心の贖罪師的鋭敏さ」が、つまり真理への意志が育てられたのである。キリスト教によって学問的良心にまで鍛えられたこの真理への意志、真理へのこの誠実さこそが、ついにはキリスト教の虚偽を暴き、それを打ち倒すことになることを、われわれはすでに知っている。禁欲主義的理想によって育てられた真理への意志が、育ての親である禁欲主義的理想そのものを否定するのだ。自分をごまかさずに、自分に嘘をつかずに、誠実に考え直してみるならば、神などじつは存在しない。神の国もじつは到来しない。
 こうして「無への意志」が暴露され、こうして「神」は死ぬ。「比較的近い時代」における無神論の到来である。そのとき一方では、無意味、無駄、徒労、甲斐のなさの感覚がひろがる(受動的ニヒリズム)。他方ではしかし、真理への意志を信じた、新しい、科学的、政治的冒険が開始される(能動的ニヒリズム)。
 禁欲主義的理想の無への意志が、真理への意志を育てることによって、おのれ自身を凌駕するそのプロセスのうちに、ニーチェは、力への意志の自己貫徹を見た。無への意志が、背後でおのれを支えてきた力への意志によってついに凌駕されたのである。隠されていた力への意志が、おのれの外皮を食い破るまでに自己成長を遂げたのだ。だからたとえば啓蒙主義の成立は、力への意志の自己貫徹なのである。そう認識するニーチェ自身もまた、一面では、この自己超克し、自己貫徹する「力」の化身にほかならない。
 だが、ただひとつ、そこにおいてなお、ただひとりニーチェだけが与える最後の一撃がある。それは、その真理への意志そのものに対して、「真理への意志そのものは何を意味するか?」(『道徳の系譜』)という問いを立てたことである。
 この最後の一撃がニーチェを傑出させるのだ。つまり、「真理への意志」そのものに対する真理への意志。「誠実さ」そのものに対する誠実さ。自分の問いそのものを自己破壊することをも辞さない極端化された誠実さ。系譜学の遂行とは、まさにそういう作業であったのだ。だから、それは、最終的には、もはや真理への意志への誠実さであることができず、むしろ、力への意志そのものへの誠実さとなるだろう。こうして、真理への意志もまた無への意志であることが暴露されて、「真理」として現れていた「神」もまた死ぬ。
 なぜ「神」は死ぬのだろうか。ニーチェが与えた究極の答えはこうだろう――もともとほんとうは死んでいたからである。もともと〈神〉が死んでいたからこそ、いま「神」が死ぬのだ。まずは、それが無であることによって〈神〉が死に、つぎにその無が知られることによって「神」が死ぬ。ニーチェのニヒリズム概念の外見上の多義性は、この構造に由来するのであろう。
 それにもかかわらず、同時にまた、この系譜学的探求を通して、「神」に代わるものが発見されたのではないか? 〈神〉が再発見されたのではないか? たしかに、転倒したパースペクティブの内部においてさえ、無への意志という外皮を内側から食い破って、自己貫徹する力への意志が発見された。だが、それは「神」に代わりうるものだろうか。それは〈神〉であろうか?


このサイトで扱っている「神」「神聖」「聖域」という言葉は、ただ沈黙が生み出す恐怖に対処するために生み出した結果を象徴的に言い表しているにすぎない。

 歴史が可能となるためには、資料を必要としているが、同じく沈黙をも必要としている。
(ジョン・H・アーノルド『歴史』)

幕末維新の扉を開けたのは、ペリー提督率いる米国海軍だった。
新世紀維新の扉を開け放つことが可能なのは、おそらく米国海軍以外にはない。


軍港・横須賀。
小栗忠順が種を蒔いた、日本の防衛の要。
1868年4月6日、小栗忠順の死。
同年、海軍局設置。日本帝国海軍の誕生。
1942年1月8日、 小泉純一郎、神奈川県横須賀市に生まれる。
1945年、帝国海軍の消滅。
1951年、米国海軍アーレイ・バーク極東海軍司令部参謀副長と旧帝国海軍出身者、海上警備隊発足に尽力。
1972年、小泉純一郎、神奈川11区選出の衆議院議員に当選。
1979年、米国海軍ジェームズ・アワー、米国防総省日本担当課長に就任。
1981年、米国海軍リチャード・アーミテージ、米国防総省東アジア太平洋地域担当国防次官補代理に就任。
2000年10月11日、リチャード・アーミテージが中心となり、アメリカ国防大学 国家戦略研究所(INSS)特別リポート「合衆国と日本:成熟したパートナーシップへ向けての前進」(通称「アーミテージ・リポート」)、公表。
2006年6月29日、日米首脳会談。
共同文書「新世紀の日米同盟」
http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2006/06/29kyoudoubunsyo.html
両首脳は、「成長のための日米経済パートナーシップ」の下で過去5年間にわたって達成されてきた進展を基礎として、互恵的な二国間経済関係を更に深化させ、地域や世界の経済問題に関する協力を強化するための方策を探っていくことで一致した。


 歴史は将来を大まかに予知する事を教える。だがそれと同時に、明確な予見というものがいかに危険なものであるかも教える。歴史から最大の教訓を知らぬ者だ。歴史の最大の教訓は、将来に関する予見を盲信せず、現在だけに精力的な愛着を持った人だけがまさしく歴史を創って来たという事を学ぶ処にあるのだ。過去の時代の歴史的限界性というものを認めるのはよい。併しその歴史的限界性にも拘らず、その時代の人々が、いかにその時代のたった今を生き抜いたかに対する尊敬の念を忘れては駄目である。
 この尊敬の念のない処には歴史の形骸があるばかりだ。
 現在は将来の予見の為に犠牲に出来る様なものではない。予見とは実際には寧ろ遅疑なく現在に処そうと覚悟した人々だけに訪れる光の如きものである。歴史は断じて二度繰り返されるものではない。スペインの政府軍が勝っても、フランコ軍が勝っても、ロシヤのモデルもドイツのモデルも繰返される筈はない。支那が将来スペインのモデルを繰返す筈もないのだ。
――小林秀雄  戦争について 1937年


2006年夏
イージス巡洋艦「シャイロー」、横須賀に配備。

 小栗の作戦は、こうです。
 薩長軍――新政府軍――は、長蛇の行軍隊形をつくって東海道を東へ東へと進み、箱根をこえて、関東平野に入ります。その行車中の部隊を、静岡県下の東海道でもって、寸断してしまう。その方法は、日本最大の艦隊をもつ徳川方が、駿河湾に海軍兵力をあつめ、艦隊で東海道を射撃しつづけるのです。ある程度の新政府軍はぶじに通過させる。半ばあたりから、これをやるのです。ぶじ通過した新政府車を、関東において袋のねずみにしてやっつけてしまう。
  あとで、新政府軍の総司令官である大村益次郎が――この人は新政府軍唯一の名将だった人ですが――これをきいて"もし徳川方がこれを実施すれば大変なことになっていたろう"といったといいます。おそらく歴史はちがったものになっていたでしょう。
  (司馬遼太郎 著 『明治という国家』)


小泉総理 最後の戦略。

沈黙が支配する聖域。

新しい聖域の構築。

2004年5月22日
第2次小泉訪朝。
「ご批判は甘んじて受けます。全ての責任は、私にあります。」

旧い聖域の暴露。

 トルーマンはいう―「私の感じでは、マッカーサーはついに真実と嘘の違いのわからない男だったと思う」。「何らリアルな感じのしない男という強い印象がある」というトルーマンのコメントは同じく痛烈である。
(袖井林二郎 『マッカーサーの二千日』)

新しい聖域と旧い聖域の衝突。

聖域は新生し、置き換えられる。

 明治は、リアリズムの時代でした。それも、透きとおった、格調の高い精神でささえられたリアリズムでした。高貴さをもたないリアリズムも国家には必要なのですが、国家を成立させている、その基礎にあるものは、目に見えざるものです。圧搾空気といってもよろしいが、そういうものの上にのったリアリズムのことです。
 昭和には――二十年までですが――リアリズムがなかったのです。左右のイデオロギー――“正義の体系”が充満して国家や社会をふりまわしていた時代でした。どうみても“明治国家”とは別の国、べつの民族だったのではないかと思えるほどです。
 (司馬遼太郎 著 『明治という国家』)


国益を最大化する上での選択は何か。
その選択の上で、障害となるものを排除する。
障害でないかそうでないかを分けるものが認識と指導者のヴィジョンであり、障害を排除するものが戦略と呼ばれる。


 勝が営んだ江戸幕府の葬式というものは、明快な主題がありました。むろん、かれは口外していませんが、"国民の成立"もしくは"国民国家の樹立"ということが、秘めたる主題もしくは正義だったでしょう。
 (司馬遼太郎 著 『明治という国家』)

 その「小栗上野介末路事蹟」、「小栗上野介末路事蹟補正」によれば、この三月四日の夜、川浦、岩永、水沼、三ノ倉の村役人に、次のような意味のことを語ったという。
 「実は、私は、ここ権田村に私学校をつくり、若者たちに数学、外国語、海外事情などを教えたい。ついては、あなた方の村からも、その志がある若者がいたら、推薦してもらいたい。私はここで官軍と争ったりして事をおこすつもりは全くない。平和な前朝の頑民として、教育に専念したいのだ」
(赤塚行雄 著『君はトミー・ポルカを聴いたか――小栗上野介と立石斧次郎の幕末』)


私は、この日本という国家の、新しい世紀の一人の国民に、なろうと思う。

「聖域なき構造改革」という改革の果実。
その果実は、小泉純一郎という人が創った聖域への涜聖により獲得される。

私は智を畏れはしない。
聖域を侵す罪を背負っても、沈黙を恐れはしない。

聖域の果実は、この手にある。
posted by     at 19:00| Comment(0) | TrackBack(4) | sanctuary lost | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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